こんにちは。永田です!
以前読書習慣の話をしました。
色んなジャンルを読むのですが、小説も読みます。
その中で僕は直木賞を受賞した作品を読むようにしています。
これはお客さんと雑談をする時に役に立っており、おすすめの本などありますか? と言われた時に「〇〇ってご存知ですか? 直木賞を獲得した作品なんですけど。」と言うとお客さんが全く知らない本を紹介されてもその後の会話が繋がりやすいからです。
芥川賞や本屋大賞とは違うのですか? と聞かれても直木賞を理解していれば説明ができます。
ちなみに、芥川賞と直木賞は年に2回、同日に発表されます。
芥川賞は純文学、を対象に選出されます。
待って待って純文学って何? となりますね笑
僕も詳しいことは分かりません…笑
そして直木賞は娯楽性に富んだ大衆小説が選出されるため何冊か読みましたが読みやすくて内容も面白いです。
そんなこともあり僕は直木賞を読み漁っています。
そんな中から、今回は2015年上半期に直木賞を獲得した東山彰良さんの「流」という本を紹介し印象に残ったセリフや情景を踏まえ読書感想文を書こうと思います。
あらすじ
主人公の葉秋生(イエ・チョウシェン)の祖父は共産党と国民党の内戦で中国から台湾に渡り戦後25年後に何者かによって殺された。
祖父のルーツを辿るごとに中国、台湾、日本の戦争の爪痕が描かれており歴史に刻まれた一家の流浪と決断の奇跡をダイナミックに描く。
スポンサーリンク
目次
苛立ちや焦燥感は希望の裏の顔ですから
読むにあたり、背景を理解するには中国や台湾の歴史を知らないと、何故そうなのかを理解するのに難しい本でした。
そのため簡単にYouTubeで歴史を調べたりしました。
そのまま流し読みしても良いのですが、背景を理解した上で読むととても面白い作品でした。
そして主人公を含め中国人や台湾人の名前なので名前が入ってくるまでかなり時間がかかりました笑
主人公の秋生(チョウシェン)も何度最初の登場人物欄の振り仮名を確認したことか…笑
そのままアキオと読みたかったがグッと堪えました。
そして見出しのセリフです。
これは祖父殺しの聞き込み調査をしている最中に1人のおじいさんが言ったセリフです。
「君のおじいさんはいつも怒っていたね。苛立ちや焦燥感は希望の裏の顔ですから」
僕は苛立ちを期待の裏返しだと思っていました。
あながち間違いではないのだと思いますが、希望という表現の方が素敵で物事を本気で変えたいのだけど、変えることができない気持ちが伝わってきました。
人は上手くいかないからイラつきます。
その思いが強ければ強いだけイラつきや焦燥感も膨らむと思っています。
僕が競技をしている時はイラつきと焦燥感は、かなりありました。
そう思うとまだ自分は出来ると期待と共に希望も抱いていたのだな。と振り返ることができます。
そしてある時からイラつきや焦燥感が薄れていくこともありました。
…つまりそう言うことです笑
周りに怒らない人やイライラしない人がいたりします。
そういった人たちは優しいのではないと僕は思っています。
人は同時に二つの人生を生きれない
見出しだけ見ると当たり前の言葉です。
この後に続く文章を読んだときに一つの正解を突きつけられた気がしました。
人は同時に二つの人生を生きられないのだから、どんな風に生きようが後悔はついてまわる。どうせ後悔するなら、さっさと後悔した方が良い。
それだけ早く立ち直るし、他の事で後悔する余裕が生まれる。
それが前に進むということなんじゃないか。
出典:東山彰良「流」より
僕はこれを読んで、人はどうしても選択に迫られた時に迷い、悩んでしまう。
そして先延ばしにしてしまい現状は変化しないことが多いのではないでしょうか。
その時の選択の答えはその先の行動によって初めて分かるものだと思っています。
選択し行動し後悔を積み重ねる数が多いということは、一歩を踏み出す数が多いということでもあります。
つまりそれが多い人は後悔も多いけども前に進んでいるとういうことだとも思いました。
僕は26歳の時に右足首の手術をしました。
苦渋の決断でした。
22歳の時に試合で足からマットに落ちた際に内半捻挫をし、そこから後遺症を残したままずっと痛みと闘いながら競技をしていました。
そして26歳の時に普通に立つのも痛くなり意を決して手術。
それまでは手術をしたら今いるレベルに戻って来れるのだろうか? とか考えてしまい不安と恐怖で手術することを躊躇っていました。
一歩を踏み出せずにいたということです。
しかし手術したら今までの痛みはなくなり、あれだけ痛くて苦しい思いをしていた4年間が虚しくさっさと手術しとけば良かったと後悔したのを思い出しました。
二つの人生は同時に生きれない。
先のことは誰も分からないのだからさっさと行動して後悔して一歩一歩進んでいけというメッセージなのではないでしょうか。
最後に
この作品は台湾の歴史を知り、中国の歴史を知って初めて分かる作品でした。
共産党と国民党の争いや、当時の台湾と日本の関係。
僕たちの世代は戦争を知りません。
言い伝えを聞いてきただけだし想像は想像でしかありません。
因果応報という言葉が作中にたくさん出てきました。
やったらやり返される。
戦時中の勲章は一方で英雄で、一方では虐殺者です。
そしてそれは戦争自体が落ち着いたとしても、やられた側の人の心はそう簡単には落ち着かない。
そんな作品でした。
確かに過去のことを根に持ってしまうことがあったりします。
やられた方は事が収まったとしても心の片隅には抱えていかなくてはならないものです。
因果応報。過去に間違いを犯した事のない人はいないと思います。
それにより傷付いた人がいるのも事実でしょう。
そんなことを考えるきっかけになりました。
価格:968円 |
2015年上半期直木賞の「流」おすすめです。
小説にも作者の考え方や思考がたくさん入っています。
フィクションですが、ヒントになることはたくさんあると思っています。
それは漫画と同じですよね。
フィクションをフィクションのままにしたらただの娯楽だよって話
以上読書感想文でした。
ではまた次回っ
更新情報はTwitterです。
フォロー頂けると嬉しいです。
スポンサーリンク