#38 踏み切れない病・駆け抜け病②

こんにちは。永田です!

 

前回から棒高跳における踏み切れない病について書いています。

前回記事→踏み切れない病①

 

今回は曲げるのが怖かった選手がどのようにして次のステージに進んだかを書いていきたいと思います。

永田ワクチン第2ステージですね。

 

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成功と失敗の比率

前回も書きましたが、6歩から始まった曲げる練習は、日にひに良くなり本来の思い切りの良い跳躍に戻ってきました。

 

6歩が当たり前になってきてから8歩に移り、同じことを繰り返していきます。

 

ところが、10歩のタイミングで座礁しました。

 

10歩になると6歩から8歩までよりもポールが長くなります。

ここにも踏み切れない病の根幹が存在していました

 

ポールが長くなったら心がNOのサインを出して踏み切れなくなる。

ポールが長くなる分、事故った時のリスクが高い。

 

つまり前回でもお伝えした通り「助走が短いからといって出来る様になる」ということはない。

 

ではここからの道のりはどうしたかというと

10歩でポールワークをやった。

もちろん普段のポールワークよりも握りはほんの少し高い状態です。

 

ここでの目的は10歩でなんでも良いから踏み切ること。

 

僕も含め10歩でポールワークなんてやらないから意味が分からないと思うが、ここまできたらどんなにおかしいと思うことも試していかなくてはいけない。

むしろ10歩のポールワークにフォームが「良い」「悪い」なんてものは僕と選手の中にも存在していない

 

いやいやそんな方法で、と思うかもしれないが、踏み切れない病でこんなにも苦しんでいる人がいるなら正攻法なんて存在しない

 

先にも伝えた通り、10歩のポールワークなんてやらないから選手の中に感覚なんてものは存在しない。

ただ、握りは低いから怖くはないと言っていた。

 

もちろん握りはポールワークよりも少し高いくらいだからポールはほぼ曲がらない。

だが、それで良い。

 

ここからは握りを上げていけば勝手にポールは曲がってくれる。

あとは歩数を伸ばすのと同様に握りを少しづつ上げていく行程を踏めばOKだ。

 

だが、握りが一定以上にくると選手の心がNOを出す

「ざわざわします。」

 

走り出す前に恐怖を感じている。

本音を言ってくれるだけ前に進めているし、ここまで◯を積んできたからこそ、失敗した時が怖い。

 

何も勉強せずに迎えたテストほど緊張感のないものはない。

勉強してきたからこそ、テストの日や受験の日に解けるだろうかと緊張するのと同じだと思います。

 

「ざわざわするのは、ここまでちゃんと前を見て進んできたから、今日は出来なくてもいい。チャレンジして欲しいけど、無理そうなら握りを下げよう」

 

と選手の意見を汲みながらチャレンジしては戻っての繰り返し。

 

そのやり方で10歩で一連の形になり兆しが見えてきた。

助走さえ怖がらなければやはり上手い。

 

それにしても、こんなにも根強く選手の心を支配してくる踏み切れない病恐るべし。


16歩のポールワーク

選手の助走は本来16歩だ。

ここまで僕は12歩も14歩も同じように行程を踏んでいくつもりだったが、選手からの発言で考え方が変わった。

 

「多分12歩以上は今の方法だと無理な気がします。10歩になってザワザワが増えたのもありますし」

「てことは、12歩も14歩も16歩も気持ちとしては同じような感じ?」

 

「多分そうだと思います。使っているポールも変わらなくなってくるのでポールの長さもここからは長くなりませんが、多分根本的にその長さが怖いです。」

「てことは12歩よりも16歩の方がスピードがある分安心感はあるかもしれないね。」

 

「そうだと思います。」

「…よし、16歩でポールワークをやろう笑」

 

「え!?」

「いやいや、結局10歩とやることは一緒。握りなんてどうでも良い。曲げなくていい。とにかく助走のリズムを作ってほしい。本来の時の助走のリズムを、このピットで作って踏み切って欲しい

 

助走のリズムを作るなら、ピット外でポール走で良いのでは? と思うけど、ピット外に恐怖心は存在していない

 

克服しなくちゃいけないのは恐怖心

恐怖心があるから助走が崩れる。

恐怖心がなければ崩れない。

となると、ピット外のポール走はうまく走れるに決まっている。

 

それに対して、「それをそのままピットでやれば良いんだよ〜」なんてコーチも甘えてる。

したがって恐怖心が生まれないものに対峙しても意味はないと僕は思います。

 

「わかりました。やってみます。」

「元々存在しない感覚だから、良い感覚なんて求めなくても良いよ。」

 

といった感じで16歩のポールワークが始まった笑

握りもポールの上から3分の2程度。

踏み切ったってちょっとした気持ちばかりしか曲がらない。

 

むしろ自分で提案しておいて、僕としてはこっちの方が怖いだろと思っていたけど笑

でも人によって何が怖いかは違う。

選手がチャレンジするなら、最初からその手段に蓋をしてはいけない

 

何とか試行錯誤しながら、最後ちょこちょこ足を合わせながらでも、選手はそれで「16歩で踏み切った」という事実を手に入れた。

あとは10歩と同様に握りを上げていったら棒高跳らしい曲がりになってきた。

 

ただやはりある一定の握りになると「ざわざわ」する。

踏み切れない病の第3ステージは「ざわざわ病」だ。

 

ざわざわして一回踏み切れなくなると封を開けたごとく一気に振り出しに戻ってしまう

一切踏み切れなくなる。

 

できていた事が、積んでいたものが本当にトランプタワーのごとく崩れる。

風が吹けば崩れるとはまさにこのこと。

 

メンタルがお豆腐じゃない

トランプタワー

 

お豆腐くらいずっしりして欲しいもんだが、本当にここで怒ってはいけない。

理解し寄り添わなくてはならない。

追い詰めてもいけない。

ただ、甘えさせてもいけない。

 

前回も伝えたが、困難や恐怖に立ち向かっているのは選手。

僕は案を出しているだけ。

 

踏み切った踏み切らないを体現するのも選手。

僕はそれを見ているだけ。

 

気持ち的にしんどいのも選手。

僕は諦めずに見守るだけ。

 

選手が諦めない限り策を絞り出すだけ。

いや、諦めさせないのがコーチの仕事でもある。

 

選手は恐怖心で、ざわざわしている。

僕はもどかしくて、もやもやしている。

 

 

次回は

「2019年、踏み切れない病が完治せずにシーズンに入ってしまいましたが、どうしましょう」

「選手の会社に現状報告とイップスの開示。結果が出ないけどイップスってなんですか?」

の2本です!

 

ではまた次回っ!

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