#118 ウェイトトレーニングとスキルトレーニング〜選手とのミーティング〜

こんにちは。永田です!

 

2021年のシーズンが終わったので先日、来間選手と石丸選手とミーティングをしました。

テーマはここまでの反省と今後の展望…の予定だったのですがトレーニング理論のことでお互いの認識がズレにズレまくっていることに僕が驚愕して急遽トレーニングの考え方の議論が始まってしまいました。

 

その時間約3時間。講義が開けそうでした笑

 

僕はコーチと同時にトレーナーとして働いているのはご存知かと思いますが、このブログでも再三トレーニングの本質を理解しないと怪我もするしパフォーマンスも向上しないと伝えてきました。

伝えてきたのですが…悔しい。

 

何が悔しいかってこれを書くのが悔しい。

涙を堪えて書き綴りたいと思います。

スポンサーリンク





目次

トレーニングとスキルは別で考えよう

タイトルの通りです。

すっごくシンプルですがトレーニング現場を見るとごっちゃにしている選手が多いです。

 

例えば今回のケースを紹介します。

来間選手「走ってる時に深くしゃがむ角度なんてないんだから片足でお尻を意識して重量重くして浅く行ってます。」

永田「それはウェイトとして捉えているの?」

来間選手「ウェイトです。ハーフスクワットなどの深さは競技に伴っていません」

永田「……(頭の中でブチブチブチと色々と切れました)」

石丸選手「ベンチプレスもやってはいるけど競技にあんな局面なんてないしなーと思ってます。」

永田「……(頭の中でガラガラガラと崩壊する音が聞こえました)」

 

と、こんな感じでトレーナーからすると、トレーニングとスキル練習をごっちゃにしてオールインワントレーニングをしているアスリートや指導者がいます。

 

多分指導者は少しづつ正しいことを勉強、理解の幅が広がってきているとは思いますが、当のアスリート本人が意識や行動を改めなくては正しい知識は役に立たなくなってしまいます。

 

ではトレーニングとスキルはどのように分ければ良いのか。

簡単に書くと

トレーニング=体力の向上

スキルトレーニング=技術の習得

 

簡単です。

しかし現場に出ると、実際に競技中にベンチプレスの局面がないとか、スクワットほどしゃがむ意味が理解できないなどと、ベーシックなトレーニングを疎かにし、重たい重量で可動域の狭いよく分からないエクササイズをしていたりします。

 

ここでいうよく分からないは本当に分からないわけではありませんよ。

分かってます。何がしたいのか。それを分かった上でよく分からないと言っています。

 

トレーニングの本質はベンチプレスやスクワット、デッドリフトが大事なんだ! ってわけではありません。

トレーニングの本質は関節のトルクを上げることです。

 

トルクとは回転力のことです。

人間の体は関節が複合的に連なって動きが成立します。

関節の回転力が速いから大きな力を発揮できます。

 

簡単な例としてチョップの振り下ろす速度が速ければ速いだけ食らった人は痛がります。

それは肩関節や肘関節が下方向に回転しながら振り下ろされたからです。

 

ですので、トレーニングの本質は決まった関節角度の力発揮の向上ではなく、各関節の回転力の向上です。

 

股関節と膝関節と足関節が正しく回転するから人はスクワットが成立します。

肩関節と肩甲骨が回転するからベンチプレスが可能なんです。

胸骨や胸椎の回転が固定され、股関節が回転するからデッドリフトが可能なんです。

 

フォース(力)の公式は質量×(重力加速度+加速度)です。

つまり力は関節のトルクを使って重力加速度を担っている質量を加速させる能力です。

重力加速度とはgのことです。

 

その質量を加速させるから物質が上がったり動いたりします。

基礎的な力学です。

 

それを向上させる手段がウェイトトレーニングで、ここに技術要素を盛り込んでしまうと、関節の自然な回転を妨げてしまったりして怪我に繋がったり、一定箇所だけ筋肉が張ってしまったりします。

 

それを防ぐためにも関節の回転を変なところで止めたりしないで最大可動域で行いましょう。がウェイトの基本的な考え方です。

ですのでスクワットでしっかりしゃがまないと変に筋肉が張ったり一定箇所に負荷がかかって怪我をします。

 

いや、しっかりしゃがんだりした方が膝や腰を壊したりするんじゃないの? と言われる方も中にはいらっしゃいますが、ウェイトトレーニングの障害発生率はめちゃくちゃ低いです。

 

100時間での発生率は0.0035%です。正しいフォームで行うトレーニングは怪我をほぼしません。

 

ですのでウェイトは可動域がしっかり取れた上で正しいフォームで様々な関節を回転させて重りと向き合わなくてはなりません。

 出典:藤子・F・不二雄「ドラえもん」より

僕だってできることならオールインワンにトレーニングをしたいですよ笑

でも、な〜にか逃げ道は無いのか? とトレーニングを勉強し知れば知るほど逃げ道がなくなりました笑

 

ウェイトトレーニングで培った力(フォース)を競技に落とし込むのがスキルトレーニングで、動き作りにあたります。

例えば鉄棒のスウィング動作やロープのスウィング動作がこれにあたります。

 

股関節と肩関節の回転を素早く行うから素早く逆さまになることができます。

これができないということは、無駄な回転が起こっていてコツが理解できていない、もしくは関節の回転力が足りていないということで筋力不足です。

ですので上記は関節の回転の仕方の会得になるのでスキルトレーニングに分類され筋力トレーニングに分類はされません。

 

ですのでスウィング動作の獲得のためにプルオーバーで肩関節の回転力を上げるウェイトトレーニングをしたり、脚の遠心力を利用できるような鉄棒でのスキルトレーニングを入れたりすれば良いかと思います。

 

トレーニングとスキルをごっちゃにしている人はスウィング動作の足に重りをつけたりします。

 

確かに腹筋などは鍛えられるでしょうが、速度が出せず遠心力が働きにくくなりますし腰椎の回転を重りが妨げるため怪我にも繋がります。

何より技術として不自然になるため本来の棒高跳のパフォーマンスがが崩れたりします。

 

他にも、地面反力を生み出したいから地面に固定されたウェイトトレーニングは意味ないなども聞きますが、その反力を生み出すのはスキルトレーニングで獲得するんです。

 

そして先述の通り関節の回転力が伴わない(筋力不足)と出来ないこともあります。

 

残念ながら良かれと思って編み出したトレーニングは裏目に出ることが多いです。

そして数ある情報を探し回っても誰かの経験談ばかり出てくるだけでそういったオールインワンのトレーニングに根拠は存在しません。

 

今やトレーニングの論文は山ほど出ていて、それもそれで氾濫していますが、トレーニングの基本的な考え方はトルクを上げること。これは確実に言えることです。

 

その上げたトルクの使い方はスキルトレーニングで動作に落とし込んでパフォーマンスに繋げるということです。


最後に

僕は王道以外のトレーニングはするなと言っているわけではありません。

その中で、これはスキルトレーニングなんです! って分類ができた上で負荷をかけて動作作りをしているのであれば良いと思います。

ただそこに根拠は存在しないと思います。

 

王道のトレーニングがきついのは百も承知です。

やっぱり目新しいものに飛びつきたくなるし目新しい物はコーチや選手にはウケが良いのも事実です。

 

ですがそれってこれを飲んでいれば太ももが細くなります。とか代謝が良くなります。とかそう言ったよく分からないサプリメントと同じだと僕は思っています。

 

ここでいうよく分からないは…以下略

 

それに思うことは、僕や選手よりも遥かに頭の良い人たちがトレーニングを追求し研究した人が出した結果や考察を否定するのはどうかと思います。

もちろん全てを鵜呑みにしろというわけではありません。

 

ただ、トレーニングとスキルに関してはごっちゃにしてはいけないし、下手をすれば怪我にもつながるし時間の無駄になる可能性の方が高いです。

 

ですのでトレーニングは関節のトルク向上させ物質に加速度を加える体力を、スキルは培ったトルクをどのように発揮するのか落とし込みを、それが競技パフォーマンスの向上に繋がります。

 

体力向上と技術の習得は全くの別物ということです。

 

来間選手「そのコルクを鍛えるのとコルクの使い方と別で考えなくてはならないんですね。」

永田「コルクじゃねーーーよ笑 トルクだよっ!!! 体育大学を卒業したのに何がスポーツ健康科学部か。スポーツ幻想根性学部だよ!笑」

 

ではまた次回っ!

 

関連:筋量を正しく増やす過負荷の原理の話

 

更新情報はTwitterです。

フォロー頂けると嬉しいです。

 

スポンサーリンク




コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

CAPTCHA