こんにちは。永田です!
自分の持っている記録を親しい後輩に抜かされるとめっちゃ複雑な気持ちになる。
もちろん記録向上のために日々アドバイスをしたり考え方を改めさせたり協力しているのだが、いざ自分の持つ記録を抜かされるとなんか複雑。
「永田さんのお陰です!」なんて言われるのも素直になんか喜べない。
顔とか多分変な顔になってると思う。
選手との温度差も半端ないと思う。
なんだコレ。
素直に喜べば良いのになんだコレ。
コレを払拭する唯一の方法がある。
僕が5m50を跳ぶことだ。
…無理だ。
唯一の方法なれど無理だ。
ただ思うことはコロンブスの言葉の通りだ。
「人のした後では造作もないことだ」
僕はこの言葉を一番最初がスゴいんだぞ。とは捉えていない。コレこそが歴史を作っていくんだ。と思っている。
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目次
人の轍を踏んでいく
僕が大学を卒業してから10年。僕の学生時代の5m30を超えた選手は4人となった。
10年前に順大記録で名前を残した永田も既にランク外となっている。
嬉しいような悔しいような。
しかしそれこそが歴史として発展してきた証拠。
そして僕が順天堂大学に入学したのは15年前。
当時僕は大学のエースになりたくて入学した。
僕の持ち記録は5m11で入学し5m30で卒業した。
その後に僕は順天堂大学のコーチとして携わりながら28歳まで選手を続けていた。
現在も週に1回練習を見ている。
僕が大学の下級生のとき順天堂大学は関東インカレや日本インカレも僕1人で出場していた。
だからどうだって話ではない。事実そうだった。
今思い返せば先輩が少なく1年の時には一つ上の先輩が男女1人づつだった。
エースになりたくて入った僕は常に新雪を踏んでいく状態。
そして大学卒業から4年かけ、後輩が僕の足跡を辿り追いつかれ、初めて抜かされた。
第一複雑期。
僕が26歳の時初めて石川選手(茨城)に5m31を跳ばれ抜かされた。
一緒に練習をしたり指導したり試合も出ていたため嬉しい気持ちと変な気持ちの半々。
むしろ8対2で変な気持ち。
31ってなんだよ。
第二複雑期
そして28歳の時、来間選手が力を付けてきた。
僕と石川選手の足跡を辿り追いついた。
そして僕の自己ベストもあっさり超える5m55。
もちろん指導や練習も一緒にしてきているため嬉しい反面変な気持ち。
むしろ12対0で変な気持ち。
第三複雑期
そしてついこないだ僕たちが作った足跡を辿り石丸選手(愛媛)が僕の学生時のベストを越えて5m35を跳んだ。
確実に僕も含め石川選手や来間選手が作った道を歩いてきてくれている。
もう複雑なんてものは存在しなくなってきた。
僕はただの老兵、若い衆が簡単にスーパーサイヤ人になるのと一緒。
2対8で嬉しい気持ち。
出典:鳥山明「ドラゴンボール」より
第四複雑期
そして先日の水戸招待陸上で奥選手(京都)が5m40を跳んできた。
もうどんどん行け! でしかない。
0対12で嬉しい気持ち。
コロンブスの言葉ではないけれど、僕が作った足跡は後輩が踏み固め、更にまた踏み固められ歩きやすいようにはなっている。
だから永田がすごいってわけではない。
踏み固められた道でだってたどり着けない人はたくさんいる。
歩いてきたのはそいつ本人だ。
それに誰一人として後輩の為に歩きやすいようにしよう! なんて思って歩いている選手はいない。
みんな自分の為に歩いている。
みんなやっていることは同じ
僕が指導する上で伝えることは「みんなやってることは同じだ。ポールを曲げて跳んでいるだけ」
スーパーシンプル。
だから型にはめようとはしない。
もちろん自分と同じようなスタイルで跳ぶ選手は指導しやすいなどはあります。
あとは自分を客観視させて気付かせること。
答えは教えない。
むしろ僕も答えは分からない。
答えは選手の中にしか存在しない。
どうやったら自分の体の特徴でポールを曲げることが出来るだろうかを考えさせる。
これはラグビー日本代表コーチだったエディー・ジョーンズ氏の言葉
問題は人に指摘されるより、自ら気付く方がはるかに良い
僕はまさにその通りだと思っている。
人はすぐに問題の答えを知りたがり教えてもらうとする。
どうやったら上手くなりますか?
どうやったら長いポールを使えますか?
僕の答えは「ポールを曲げることだよ」でしかない。
言い方が意地悪だよな笑
でもコレが強くなる1番の方法。
それを見つける為に自分で考えて試す!
もちろん物理の法則や力の方向は指導する。
そしてそこからの道は自分で決めること。
どっちかな? と道に迷った時「こっちだよ」と言われた時、人は安心するのだけれど、いざ違った時に人は間違いを責めるだろう。
こっちって言ったのに違ったじゃん!
だったら自分で考えて地図を広げるなりして自分で道を決めなくてはならない。
でなければ人のせいにする。
人に指摘されることが繰り返されると自分で状況判断ができない選手になってしまうと思う。
その中で迷ったら信頼できるたった一人に相談をするべきだ。
そして決めるのは自分だ。
あまりにも違う方向に行き過ぎていたらコーチが連れ戻してやれば良い。
最後に
自分の記録を抜かれるのは何とも複雑な気持ちだが、自分の足跡を追ってきてくれたと思うと僕のアスリートだった価値もあったんだなと思える。
つまりアスリートの価値とはと問われたりするけれど、後継者が歩いてくることが出来るということも一つの価値だ。
そして今いる下級生がまた同じ足跡を辿って僕らが知らない道にたどり着くのではないかとワクワクしている。
いつまで大学の練習を見ることが出来るか分からないけれど協力できることはしていきたいと思っている。
コロンブスが残した言葉「人がした後では造作もないことです」って話
というわけで僕のこのモヤモヤを晴らすには5m50を跳ばなくてはならない。
誰かコーチしてください笑
ではまた次回っ
更新情報はTwitterです。
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