#125 結局僕たちって何者なんでしょうか?

こんにちは。永田です!

 

この3日ほどで小説を読みました。

今回読んだのは2012年下半期 直木賞を受賞した、朝井リョウさんの「何者」という作品。

 

朝井さんの代表作は「桐島、部活やめるってよ」などが有名です。

僕はまだ読んだことはありませんが。

 

簡単に何者のあらすじだけ記載しておきます。

「あんた、本当は私のこと笑ってるんでしょ」就活の情報交換をきっかけに集まった、拓人、光太郎、瑞月、理香、隆良。学生団体のリーダー、海外ボランティア、手作りの名刺……自分を生き抜くために必要なことは、何なのか。この世界を組み変える力は、どこから生まれ来るのか。影を宿しながら光に向いて進む、就活大学生の自意識をリアルにあぶりだす。

出典:朝井リョウ「何者」より

 

就活の題材に加えTwitterという学生ならではのSNS文化もリアルに描かれていて読んでいて、いるよなぁこーゆーやつと思いながら読んでいたのですが、いざ読み進めていくとそのイタさが自分にも照らし返されて心を覗かれ暴かれていく気分になりました。

 

これ以上は言わないでくれ! とラストの30ページくらいは登場人物の声を借りた著者の朝井さんに「お前ってこーゆーやつだよな。本当はそう思ってるんだろ? 上から目線であんたは何者なの?」永田自身に畳み込まれていく気分で苦笑いしながら読んでいた。笑

 

読み終わり思ったことを書こうと思います。

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目次

何者

Twitterのプロフィール欄に学生時として永田が「何者」なのか思いっきり書くとしたら。

 

順天堂大学陸上競技部/総合優勝主将V27/棒高跳日本選手権5位/新潟国体5位/学生インカレ4位/オリンピック強化指定選手/体トレゼミ1期生/Perfume大好き/ゲーム/ロンドンオリンピック目指しています/日本一になりたい/やれるときにやっとけ

 

読んでもらう気あるのか? とこんな感じでかなり客観的に見て意識高い系で自己肯定感が振り切っていて、見る人が見たら癇に障るヤバそうなやつになる。

 

というかシンプルに嫌だ。

 

Twitterや今はInstagramもあるけど、限られた文字数でプロフィール欄で自分が「何者」なのかを説明するのって基本的に難しい。

 

そして学生は何かの実績を残すのって基本的に難しい。

活動や資格欄を埋めるためにボランティア活動や留学、ゼミの班長やTOEICの資格をとる人たちもいるだろう。

みんな同じように授業を受けて、同じようにサークル活動してるのに、そこで他の人とは違う「何者」かになろうと努力をしている。

 

ただ、「何者」になる過程は社会においては見向きもされない。

大事なのは過程ではなく実績だ。そんな描写を紹介したい。

隆良くんは、自分がやっていることの過程を、Twitterでみんなに知ってもらおうとしているよね。誰かと知り合った、誰かの話を聞いた、こういうことを企画している、今こういう本を読んでいる、こういうことを考察している、周りは自分にこういうことを期待してる。

それを自分の中から出しなよ。自分の中から出さないと点数もつかないんだから。これから目指すことを綺麗な言葉でアピールするんじゃなくてこれまでやってきたことをみんなに見てもらいなよ。

そうでもしないともう、見てもらえないんだよ。

出典:朝井リョウ「何者」より

 

Twitterなどに達成できるか分からないことを綺麗な言葉で着飾り発信し他の人とは違う「何者」かになった気分を味わっている空想クリエイター系男子の隆良に放たれた言葉。

 

自分の思想やスタンスは言葉で説明できないことだから面接は無意味。

自分が求めているものがどこにあるか分からなくなってくる。

面接って本当に馬鹿馬鹿しい。その場にいる全員で面接という空間を演出している感覚。

出典:朝井リョウ「何者」隆良より

 

など隆良は実績も出していないのになんか偉ぶったやつだったからこの言葉が放たれた時はもう嬉しくってニヤニヤしちゃった笑

 

もう子供ではない以上、過程の段階で誰かの目を引くこともできない。

社会人は結果と実績で評価されると突きつけられるような言葉だった。

 

しかしそれは事実だと思う。

実績がなければ「何者」にもなれない。


トマトとメロン

それに因んで、妻の実家のトイレに相田みつをさんの日めくりカレンダーをパラパラめくっていたところ、僕にとって強烈な言葉が飛び込んできた。

 

これはトマトも本物だし、メロンも本物。

だからトマトはメロンになろうとはしない。

 

メロンの方が優れていると思わせているのは人間の文化と欲だ。というメッセージなのですが、これは人間社会において中々難しい。

 

自分は他の人とは違う。と思いたいし、今もなお思いたい。

できるならたくさんあるトマトの中のメロンでありたい。

でもそう簡単にメロンのようにはなれない。

 

だからと言ってトマトをメロンのように見せ始めると急に作り物や偽物になってしまう。

ものの価値や、経験の価値はそれ以上でもないしそれ以下でもない。

 

色んなことを極めていけば極めていくほど他の人がメロンに見え始め目に余る。

だからといって自分がトマトだと認めることも難しい。

たとえメロンだとしても小さければ謙遜し隠したくなってしまう。

 

そして自分が極めていないものに関してはトマトなのかメロンなのか分からないものが多い。

トマトをメロンに見せるのが上手な人もいるであろう。

だから僕もメロンかと思い、手にしたらトマトだった。なんて経験もある。

 

どの業界でも組織でもトマトをメロンのように見せてくる人はいると思います。

中にはあなたのトマトをメロンにする10の法則みたいなノウハウを説いてる人もいるし、集団では目立たないけど見る人が見れば本物のメロンだと分かる人もいる。

 

何者を読んでいて就職活動や、人脈、営業、コネってトマトをメロンのように着飾り「何者」かにならなくちゃ。という感情がどうしても出てしまうよなぁと。

そもそも各カテゴリーでメロンを持っている人の方が少ないんだから仕方ない。

 

ビジネスや商品においても差別化という言葉が使われたりもするけれど、本質的なものって変わらないから、僕が指導しているトレーニングもそれはそれでしかなくて他の「何者」でもないんだよなぁとも思ったり。

 

でも本質的なところを崩さずにキャッチーな言葉や横書きっぽい肩書きで着飾る方がインパクトあるよなぁとも思ったり。

 

そうなると僕らも「何者」かにならないと社会を生き残れないのかもしれない。

表参道のパーソナルトレーナーとか、陸上に特化したトレーナーとか。言われたりもするけど。

もうそれって僕の中では「何者」なのよって思う。

どこで働こうと、何をやっていたとしてもただの「パーソナルトレーナー」だ。

 

その本質は変わらないし、持っているものを積み上げて実績に繋げる他手段はない。

できるならメロンに見せる10の法則を知りたい笑

 

就活も含めて、社会に出たらみんなちょっと着飾って見栄張って「何者」かになっているように振る舞わないといけないのでしょうか。

 

それこそ、あらすじに書いてあるとおり、この日本社会を生き抜くために必要なことってなんなんなんでしょう。


最後に

面白くて3日くらいで読んでしまったけれども。

何よりも思うのは2012年の時に朝井さんは23歳だ。

23歳でこの小説を書き上げている。

 

この考え方や社会のテーマを書き出せるほどに頭の中で言語化ができていたということになる。

これに一番嫉妬するわ。

 

そして朝井さんは「何者」でもなく自分のやりたいことを朝井リョウとして形にし世に生み出して直木賞まで受賞しちゃって。嫉妬する。

 

小説家としてメロンだ。

 

僕は選手としてはメロンだったのだろう。

しかしパーソナルトレーナーやコーチはどうだろうか。

トマトなのかメロンなのかを思うともう自分では分からない。

 

こんなグジュグジュ女々しくブログに綴ってる時点でグジュグジュのトマトなのかもしれない笑

 

10年前の小説だけど今読んでも考えるきっかけになるだろう。

就活生には逆におすすめしない笑

フィクションの就活小説を読む前に自分の就活頑張ってほしい。

 

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感想(19件)

多様性を重んじる社会ってなんなのかよく分からない。

グジュグジュのトマトだって小さなメロンだって良いじゃない。と言うこのなのかは分からない。

 

ただ人間の文化と欲がこの社会から切り離せないのであれば実績を積んでトマトを飾らずにメロンにすることに頑張る他ないんじゃないかと。

 

それを踏まえ「何者」でもない混じり気の無い永田を極めるなら将来のプロフィール欄はもっとウザくしようと思う。

 

妄想プロフィール。

AGELCA代表パーソナルトレーナー/代官山から南青山へ/月商7桁/世界中の筋肉のために働きたい/元オリンピック強化指定選手/ベストボディ出場経験あり/全方位幸せで溢れかえる/愛・金・夢/夢は叶えるもの

 

いや何者だよ。

 

ではまた次回っ。

関連:直木賞「流」の話

 

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