#116 全日本実業団の結果報告と澤野選手の勇姿

こんにちは。永田です!

 

9月25日に全日本実業団の男子棒高跳が行われ来間選手のコーチングに行っていました。

 

結果は5m30で4位と目標には届かない結果となりました。

また現日本記録保持者の澤野大地選手の引退という試合でもあり、色んなことを思い返す大会となりました。

 

そんな内容を書いていこうと思います。

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目次

怪我でも思いっきりやるしかない

来間選手については8月くらいから腰痛を訴えており、完治せず全日本のピットに立つ状態となってしまいました。

 

当初の目標はどんな状況でも最低5m40は跳ぼうという目標でした。

5m40を跳んだのは3月が最後で、そこから5m30が続いており、コーチとして不甲斐ない部分ともどかしい部分が混濁としています。

 

試合に至るまで、彼の状態は腰痛があるため、練習のフィードバックの頭に今のは痛かったや、今のは痛くなかったとなってしまい、技術面のフィードバックが取りにくい状態でした。

 出典:鳥山明「ドラゴンボール」より

 

僕は一貫して、やるなら思いっきりやれ。と伝えていました。

 

というのも、僕も足首がずっと痛くて、無理して跳躍をする事が多くありましたが、結局痛みを庇って思いっきり出来ないのであれば、それはその練習で何を獲得したいのかが側から見て分からないのです。

 

恐らく、跳べたという安心感がほしいのだと思います。僕もそれだったと思います。

ただ、今になって過去の自分に対して思うことは、そこの練習で跳べて安心感を手に入れたとしても本来の目標(自己ベスト)を達成する路線からは逸脱しているためその行為は違うのではないかと思います。

 

そしてそれを行い自己ベストや目標を達成できたこともありません。

 

痛い時は思い切って休む! これはアスリートにとってとても難しい選択なのも理解していますが、痛みが身体から出ている時は休んでくださいの合図です。

目標を達成する手段は他にもたくさんあり、そこに目を向けるべきだと僕は考えます。

 

話が逸れてしまいましたが、試合の内容としては悪くなかったのではないかと評価をしています。

久しぶりに5m20を1回目で跳んでくれたため僕の心臓は幾分穏やかでした笑

続く5m30も少しバー寄りに流れつつも2回目でかわしたので5m40は今日は跳べると思っていました。

 

5m40に上がりポールを変更した1本目は踏み切りと突っ込みのタイミングがズレ、衝突事故のような感じになり跳躍できず…。

見ていて腰が砕けるんじゃないかと僕が変な汗をかいてしまいました。

 

2回目はズレこそ修正したものの入りが足りずポールが立たずバーに被さる形に。

うーん。もどかしい。入りさえすれば跳べるのに、万全じゃない中である程度のポールを使うのは難しいことを理解していますが、もどかしいです。

 

そして迎えた3回目。

むっちゃ風が向かってる笑

ついてないなぁ。 他の選手も3回目のタイミングだけ風が向かっており、これにて1回目に跳んだ竹川選手とパスをしていた石川選手以外は振るい落とされました。

 

来間選手は試技直前にポールを持ち替えました。柔らかいポールを選択したようです。

良い判断…と思ったのも束の間。

突っ込んだ瞬間答えは出ました。

100%流れる。

 

案の定上昇中にバーにかすめ、これにて試技終了です。

 

全然良い判断ではなかった。心の中で良い判断と思った20秒前の永田を罵倒してやりたい気分になりました。

守りに入る奴が跳べるかぁ! と。

…全て結果論なのですが。

 

というわけで5m30で4位という結果に終わりました。

2021年はこれにてシーズンアウトです。


澤野選手の引退

この日が来ると察してはしましたが、訪れるとやはり寂しい気持ちになります。

 

澤野さんには試合や合宿でお世話になり強くなるきっかけを与えてくださったり、コーチとなった今スタンドでお話させていただく機会もあり、また僕の事業のことも気にかけてくださる大先輩です。

 

澤野さんはどれだけの世代と闘い続けたのだろうか。

恐らく下は筑波大学の古澤選手が最年少、彼がまだ19歳。

上は多く見積もって6歳年上の方と予想すると47歳までの選手。

 

28世代くらいか? もしかしたらもっとの可能性もあります。

すごい歴史だと思います。

iPhoneもまだ13ですから。

 

僕と澤野さんは8個年齢が離れています。そして思うことがあります。

僕が初めて合宿に参加させていただいたのは21歳のとき。

僕の一個上は荻田さんや川口さん、鈴木さんなどのビッグネーム揃い。

そして一個下は笹瀬選手というスーパースターがいました。

そんな22歳から20歳までの勢いある選手たちがブイブイ上がってきている最中澤野さんは29歳。

 

今33歳になった永田なら分かる。

その若手を29歳が試合でねじ伏せてくるから強いんです。

もちろん棒高跳を追求するにあたり年齢は全く関係ありません。

 

ただ事実として身体の具合は20代初期と20代晩期では全然違います。

 

澤野さんと行なったメニューで今でも覚えているものがあります。

澤野さんは覚えているか分かりませんが…。

 

合宿中に僕と澤野さんと荻田さんでウェイトのメニューをしている時でした。

澤野さんが発したメニューです。

ベンチプレスを80kgでオールアウト3セット

 

僕は確かに聞き取れました。

しかし僕と荻田さんはその時、英語と数字が分からないふりをしました。

 

澤野さん…英語と数字だらけで分かりません。

 

ベンチプレスを80kgでオールアウト3セット

 

言いながらニコニコしてんだよなぁ笑

 

僕らは腹を括って取り組みます。

僕は1セット目17回か18回くらいで掛け布団になり1セット目終了。

これあと2セットも…。いやオールアウトって3セットもするもんなの? 澤野さんやべーってなっていました。

 

続く荻田さんも20回行かないくらいで掛け布団。

助ける僕も死んでいるので何が何やら。

 

そして澤野さんが始まり何回行けるのだろうかと20回越えるのか? と興味を示していたところ、余裕を余して10回でシャフトをラックに戻しました。

 

僕と荻田さんは、えーーーーーーーーーー!!!!!! です笑

いや待ってくださいよ! 澤野さんオールアウトは?

 

なんか言われたのを覚えていますが僕と荻田さんが騒いでいたので覚えていません笑

 

さて…1セット目にオールアウトしてしまった僕と荻田さんはここからが本当の地獄です。

 出典:鳥山明「ドラゴンボール」より

 

2セット目なんて何回行ったか覚えていません。多分6回か7回くらい。脳みそもパニックなのに大胸筋に刺激が入るわけないんです。

 

3セット目は何回行ったか覚えていません。

恐らく補助している荻田さんと澤野さんの80kgのアームカールになっていたのではないでしょうか笑

 

ただ澤野さんは80kgを10回3セットをこなしたのは覚えています。

その横で僕と荻田さんは1セット目に取り返しの付かないことをしてしまっているため亡骸になっていました。

 

今考えると分かるんですよ。

30歳のアスリートがベンチプレスで80kgオールアウト3セットやるわけないんです。

そんなことしたら壊れるんですよ。

 

あぁ今なら分かるんですよ…。


最後に

本当はもっともっと書きたい内容があるのですが、あんまり長くなっても大変ですので、締めくくりたいと思います。

 

2021年のシーズンはいまいち振るわない結果となってしまいました。今一度来間選手とミーティングを行い道筋を立てようと思います。

 

また澤野さんと初めて同じピットに立てたのは僕が19歳の時。

そこから28歳まで僕は競技を続けて記録なし以外の澤野さんに勝てたのは1回だけ。

その時のこともかけるタイミングが来たら書こうと思います。

 

今回で引退を決意している選手が多く、僕も決意した2016年を思い出しました。

やはりそれだけ選手にとってオリンピックというものが原動力になっているということです。

 

毎年全日本実業団に行くと必ず質問される言葉があります。

「永田さんは何歳まで競技をしていましたか?」

 

毎年必ず何名かの選手に聞かれます。

引退とは難しいもので、頭打ちになったり突破口が見えなくなると過ぎります。

肉体的にはまだできるけども魂がそうは行かないことが多くあります。

 

周りはやってほしいと声をかけてくれるものですが、自分の心がそうは言ってもと思ってしまいます。

とても難しくどんなアスリートにも訪れます。

 

それを理解できるし経験したからこそ、アスリートのサポートをしたいと最近は強く思うようになりました。

終わりぎわが何よりも大事なのではないでしょうか。

 

コーチとしてまだまだ勉強しなくてはならないこともあるし、後輩たちに僕なりに伝えられることも数多くあります。

 

澤野さんが牽引してきた棒高跳、明らかに日本のレベルは向上しています。

僕ができることは何か、日本の選手が世界で活躍するにはどうすれば叶うのか考えて、今後も取り組んで行きたいと思っています。

 

そのためにダイヤモンドリーグやツアーゴールドを種目関係なく見漁っていました。

 

ダイヤモンドリーグを追って固定概念を崩した話

 

2022年に向けて計画を練りたいと思います。

 

澤野さん長い間お疲れ様でした。今後も澤野さんから色々と学ばせてもらいます。

 

ではまた次回っ

 

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