#40 踏み切れない病・駆け抜け病④

こんにちは。永田です!

 

今回で4回目となる踏み切れない病のお話。

今回で完結させたいと思います。

 

4まで来ると、トイストーリー並の大作なわけです。(中身はどうあれ)

 

前回は2019年のシーズンのお話をさせていただきました。

踏み切れない病③

 

2019年が終わりオリンピックを控えた2020年はどうなったのか。

結果からいうと踏み切れない病を克服し、3年ぶりに自己ベストを超えて日本選手権で優勝してくれました。

 

タイミングや運ももちろんある。

イレギュラーな年となった2020年。

どのようにして挑んだか。

 

スポンサーリンク


目次

自信と不安の間

コロナ禍で実際に指導できない中で、本人と電話でミーティングをしたり本人の意向を聞いてみたり。

ただ2019年の復調の兆しもあり選手の発言はかなり前向きになってきました。

更に2019年にずっとおこなっていたのが、目的と手段の線引き

 

過去に記事書いています。

これ本当に大事なことなのでまだの方は是非読んでほしい。

目的と手段

 

自粛期間中も選手は自分の目的を見失っていなかった。

できることが限られている中で目的に見合った手段を選んでいた。

 

「家にタイヤのスペアがあるのでランジスクワットができそうなんですけど永田さんどう思いますか?」

「それの目的は何? てかスペアなんであるん笑」

「助走の最初の力発揮を目的としていて、最初の6歩が決まれば僕は安心します。」

「間違いない。良いと思う。やれ。」

 

僕は基本的に選手が明確に説明できたものに関しては否定しません。僅かに違和感を覚えたら僕の意見も言うようにしています。

 

で僕たちは最終的に選手が納得した手段で目的を果たすようにしています。

 

だからと言ってランジスクワットが良いみたいだ! やろう! は違いますよ。

トレーニングや練習内容に正解なんてありません。

ではトップアスリートとそうじゃないところには何が違うのか。

センス? 運動神経? 少し辛口で言うなればそんな身も蓋もない言葉で片付けるのは思考を停止している状態だと僕は思います。

 

一番は目的を見失っていないかが大事だと思います。

そのために何で達成しようとしているのか理解し、信じている選手が強いのだと思います。

 

やはり2019年はこの考え方が確立されておらず僕からも叱咤されたり呆れられたりしてました。

2020年のコロナ禍になり本人も考える時間がかなり増えたのだと思います。

 

ものすごく考える力が伸びたことを実感しました。

 

ただ、練習できない不安や良くなってきた折での自粛生活は選手を不安にもさせていました。

せっかく戻って来たのにまた踏み切れなくなってたらどうしよう


シーズンイン

オリンピックは結果として延期になってしまったが多くの人の協力や理解があり、様々な大会を開催してくれました。

 

練習再開して僕はしばらく実際に指導はできず送られてくる動画でフィードバックをしていました。

実際始まれば選手の心配は何のこともなく握りも高い状態から始められていました。

 

初戦は雨の東京選手権でしたが5m30で優勝と去年のシーズンベストを跳んだので本人も強気になっちゃっていました笑 

「もう全然大丈夫ですね! 風も問題ないです」

なんか悔しいけど良いことです。

 

そこから日本選手権まで

大学の競技会 5m42 (社会人ベスト)

全日本実業団 5m40

 

とようやくステージが戻って来ました。

発言はどんどん良くなり明確なビジョンが見えていました。

 

僕としては嬉しかったし安心でした。そして本当に助かった。

何故か…僕はこの時、絶賛失業中だったからだ笑

 

名前:ながた じゅんや

Lv.:   32

職業:ぎんゆうしじん

特技:物思いに耽る

 

そんな中で選手のメンタリティがトランプタワーのままだったら僕はHPを削られて棺になっていたかもしれない笑

話を戻すと、今でも思い出して嬉しいことは5m42跳んだ試合終了時に

 

「あーオリンピックに行きたいっ!」

 

この言葉を僕はずっと待っていた。

本当に待っていた。

ようやく本人がビジョンとして自己ベストが見えて来た証拠。

 

この「オリンピックに行きたい」は誰にも言わされていない。

インタビューとかでも聞かれてない。

僕も言わせてない。

 

選手の魂が言葉というツールを使い発せられた

 

ここには同じ「オリンピックに行きたい」という言葉でも重みが違う。

 

これを僕は覚えている。

ようやく戦えると思った。

 

そしてその2ヶ月後の日本選手権で彼は優勝した。

その時の僕のTweetがこちら。

ラッキーゲームかもしれない。

たまたまかもしれない。

漫画の主人公のような話かもしれない。

でも本当に本当にこんな日が来るとは思わなかった。

 

彼が一番すごい。

跳んだのは彼。


最後に

多くの棒高跳選手を悩ませている踏み切れない病。

明確な正攻法は存在しません。

僕のやり方が正しいわけでもない。

 

ただやはり一貫して気をつけていたことは選手を尊重することと敬意を払うこと

尊&敬

 

一歩踏み出す勇気を出すのも選手

嫌だと思うことに向き合うのも選手

苦しい、こんなことに意味はあるのかと思うことに意味を見出すのも選手

結果が出なくて色々言われるのも選手

失敗が増えてきても立ち上がるのも選手

永田さん正論ばかりでムカつくと思うのも選手

 

これに耐えられない人が多くいる中で立ち向かい逃げなかった人が生き残る。

 

全て選手のメンタリティによって結果が浮き沈みするのを僕はずっと近くで見ていました。

 

勝てるのには必ず理由がある

負けるのにも必ず理由はある

 

だから「勝つために負けないことを積んでいく」が僕が大事にしていること。

人生に一発逆転なんて存在しない。

逆転には逆転できる、される理由がある。

 

それを知っているわけではないけど、数ある選択肢や手段を間違えないように考えることが大事。

 

だから何事も経験をして行動をして失敗して突破していかなくてはいけない。

 

僕は自慢ではないけど競技者として失敗しまくってきたと思う。

逃げ道だってクソほど知ってる。

 

僕がハマった沼にハマってほしくないし、僕が登りきれず落ちた崖は登りきってほしい。

 

ただ言えることは僕たちは二人とも諦めの悪い男だったということ。

 

ここからは僕も知らない沼や崖や荒野があるのだろうと思っています。

一緒に越えることができるのか、誰かに託すのかはまだ誰も分かりません。

 

今後も生暖かく見守ってください。

 

長くなりましたが踏み切れない病の記事を書き切りました。

 

ノウハウではなく経験談となりましたが、悩んでいる人の一つの糸口になれば幸いです。

 

踏み切れない病で悩む全ての競技者に幸あれ!

 

ではまた次回っ!

 

Twitterフォローはこちら

スポンサーリンク

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

CAPTCHA